特徴
スクリュープレスの特徴
スクリュー特殊用途を除いた、鍛造用の一般製品には以下の特長があります。
ラムス トローク線図
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1
クランクやリンク等の偏心機構でなくスクリュー機構により加圧力を発生させるプレスである。プレス機械は、機械プレスと液圧プレスに大別されるが、スクリュープレスは機械プレスの一機種として一応分類されております。
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2
機構的下死点がなく、材料のオーバーサイズや加熱温度のばらつきから発生する過負荷や、スライドのスティック(過負荷による食い込み停止)を心配する必要がありません。さらに同じ材料を違ったパワーで何度でも加圧する事も出来、段々変形をさせて行く逐次鍛造が実施できます。軸物のアプセット加工をトランスファー装置無しで簡単に実施できます。下死点のある機械では加圧時のフレームの伸びに起因する加工品の厚みのばらつきを考慮する必要があります。つまりフレームが伸びればスライドの下死点位置が移動してしまい、つぶした製品の厚みが変わってしまいます。スクリュープレスには下死点が無い為にこの懸念が無く、特に薄物の鍛造に大変有利です。下死点調整が不要で段取り時間が短く済み、多品種少量生産にメリットがあります。最初の1個から良品を鍛造する事も可能です。
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3
フライホイールエネルギーは一回の加圧ですべて消費され、製品に対し大きな変形エネルギーを与えます。呼称能力を越える荷重がフレームにかかる場合が常に起こり得ますが、通常呼称能力の2倍を許容能力として設計しており、2倍での繰り返し加工をしても一向に問題ありません。
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4
鍛造時の成型速度が非常に速く、特に熱間・温間加工で最適です。また加工時のスライドのリバウンド(反動)により、金型接触時間が更に短くなり、金型寿命を向上させます。一般のクランクプレス、ナックルジョイントプレスとスクリュープレスのクランク曲線図(ラムストローク線図)を図で示します。下死点上直近でのスライド速度はスクリュープレスでは非常に速く(通常800mm/sec前後)、金型が材料を押している時間が非常に短時間である事がわかります。従って加熱された材料が冷める前に瞬間に加工を終了させる事が可能です。クランクプレスや、ナックルジョイントプレスで熱間鍛造をすると、金型と材料の接触時間がが長いため、金型温度が過度に上昇して水冷却が必要となる事があります。一般に加熱鍛造では金型接触時間が短時間であれば金型温度はあまり上がらず金型寿命が長くなります。
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5
加圧力はフレームの中で発生します。ハンマーと比較して過度の対地振動は無く、基礎工事も安価に済みます。
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6
構造がきわめてシンプルで構成部品が少なく、安価な導入価格とメンテナンスコストでより高い生産性を得る事が出来ます。サーボモータ駆動機にはクラッチ機構がありません。ブレーキは停電等の非常用で消耗がありません。極めて省メンテナンスです。
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7
加圧エネルギーは簡単に正確にプリセットでき、毎行程変動の無い加圧を繰り返して実行します。サーボ駆動機の場合変動要因である摩擦クラッチがありませんので、成形エネルギーは、完璧に毎回同量発生し、正確精密な加圧が実施できます。
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8
発生する加圧エネルギーが非常に大きいので、同じ加工をクランク機構のプレスで行なう場合、1.3倍から1.8倍の呼称能力のプレスが必要となります。
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9
完全な自動化ラインに組み込む事が出来、マニュアル操作の場合、熟練度はまったく不要です。
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10
サーボ駆動機は、従来型フリクション駆動機と比較して、30%から50%省エネです。